有希はそう言ったものの途端に羞恥心がこみ上げてきたようで、「今のナシ!」と言いたげな顔で逡巡している。
かわいい、好きだよ、愛してる。
そんな彼女には今まで何度もほかの女の子たちに伝えてきた言葉のどれを告げても半分くらいしか伝わらない気がする。
「有希の勇気に俺は愛でこたえてあげよう」
そう言って俺は小島を抱き上げて、部屋の照明を落とした。洒落みたい、と笑った彼女をベッドの上に横たえた。
間接照明だけがぼんやりと灯る。
有希の体中の筋肉が緊張しているのがわかった。きっと内心パニくってるだろう。笑いがこみあげてくるのをぐっとこらえる。
「・・・いつから気づいてたの?」
「有希が俺のこと好きだってこと?」
パーカーを脱ぎ捨てる。ついでにTシャツも脱いでベッド下に投げる。
「・・・そう」
「んーどうだろ5年くらい?」
「5年?!」
「よくわかんない。でも俺ははやく有希が気づけばいいのにって思ってたよ、俺のこと自覚してって。待ってた結果が今日だから、俺今は嬉しくてしょうがないけどね」
俺はニッと笑った。
「そうでしたか・・・」
「まあその間、俺が他の女の子とも付き合ってたこともあったから、ちょっと気づけってのも難しかったかもしれないけどさ」
しゃべりながら有希の下着に手をかけた。
観念したのか声を上げなかった。身を固くはしたけれど。
「すごく都合のいいこと言うけど、俺はずっと待ってたよ、小島が落ちてくるのを」
ばさりとシーツを頭からかぶる。
「頼むから、俺に陥落して」


有希の体には普通の女の子より筋肉がつまっているけど、どこに触れてもやっぱり柔らかかった。
どこかに口づける度に熱っぽくなる体に興奮する。
多分彼女が今まで一度も発したことのない嬌声に満たない声にぞくぞくする。
さわって、なめて、かんで、なかせて、つながって、くっついて。
目にうっすらと涙をうかべた有希の髪をなでる。
「ごめん、きつい?」
浅い呼吸をしながら有希が首を振った。
隙間なく体が重なって心音に耳を傾ける。自分の下で喘ぐ彼女を抱きしめる。

“男は最初の男になりたがり、女は最後の女になりたがる”

最後の愛をあげるから君の初恋を俺に頂戴。



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