当然の結末。



誕生日まであと1週間。20になるまであと7日だった。
「何が欲しい?」
めずらしく亮が訊いてきた。はじめてじゃないだろうか。高校の時から付き合い始めてもう4年になる。 私は少し考えてから
「結婚指輪」
と答えた。動揺する顔が見たかったのだ。とゆうか困らせてやりたかった。ひとつ年上のこの男を。 でも亮は一瞬大きく目を見開いて下を向いて数秒考えただけだった。予想外の反応。
そして顔をあげて、
「そんなんでいいわけ?」
とだけ言った。
「そんなん?」
そのまま言い返した。
そんなんて?
そんなんてなんだ。そんなんじゃないだろう。 ただの指輪じゃない結婚指輪だ。
「いや、車とか言われると思ったし。お前免許取ったばっかりで、あーミニクーパーかわいいってずっと言ってたじゃん」
「は?」
「だから指輪のがよっぽど現実的」
「それは値段が現実的なんでしょ」
少しがっかり、した。
そりゃそうだ。家とか車とかのがよっぽど高いけどこーゆー状況でたった一つだけ年上の恋人に家をねだる女がいるのだろうか。
亮の脳味噌のほうがよっぽど非現実的だ。
あたしがいろいろ考えてるのを見て、亮は鼻で笑った。
腹立つな。こいつはいつでも。
「あのな、有希」
「なんですか」
「なに怒ってんの」
「あんたが笑ってるからよ」
「だってな、そんなん当然じゃん」
「は?」



「遅かれ早かれ、お前は俺のもんになんの」


おわかり?
ニイとむかつく笑い方で亮が笑った。


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